車いすバスケットボール
バスケットボールは1891年にアメリカで生まれました。 多くの障害者を生んだ第二次世界大戦後、米英両国で車いすスポーツが生まれ、バスケットボール発祥の地アメリカでは車いすバスケットボールが障害者自らの手で情熱を傾ける対象として急速に普及発展し、1949年には全米車いすバスケットボール協会が設立されました。一方、1946年英国ではストークマン・デヴィル病院のグットマン博士により脊髄損傷者の治療法のひとつとして車いすポロやネットボール(バスケットボールの元となったスポーツ)が導入されました。この2つの流れは1950年代後半にひとつとなり、車いすバスケットボールは競技スポーツとして世界中で盛んになっていきました。車いすも当初は日常使用のものが用いられていましたが、だんだんに競技用のものが工夫され、現在はハイレベルな競技が行われています。
競技について
車いすバスケットボールのルールは、一般のバスケットボールのルールとほぼ同じで、1チーム5人の選手がボールを奪いあい、一般の競技と同じ高さ(3.05m)のゴールにボールを投げ入れて、得点を競います。スピードや俊敏性、持久力に加えて、車いすを操作する技術などが決め手となります。 また、ゲームは10分のピリオドを4回行います。第1ピリオドと第2ピリオドの間、第3ピリオドと第4ピリオドの間、それぞれ2分間のインターバルがあり、第2ピリオドと第3ピリオドの間のハーフタイムは、10分または15分です。
クラス分けについて
車いすバスケットボールの選手には各々障害レベルの重い者の順から1.0-4.5の持ち点が定められており、試合中コート上の5人の持ち点の合計が14.0を超えてはなりません。このクラス分けの目的は、障害の重い選手も軽い選手も等しく試合に出場するチャンスを与えるためです。仮にこのクラス分け制度がなかったとすると、障害の軽い選手だけでチームを組むことが可能となり、障害の重い選手の出場機会を奪ってしまうことになります。クラス分けは車いす駆動、ドリブル、パス、ボールコントロール、シュート、リバウンドなどの動作はもとより、車いす座位における体幹のバランス能力とボールコントロール範囲に応じて分類されます。このように車いすバスケットボールでは、それぞれのチーム間の公平性も保っています。
持ち点 | 程度 | 主な動き |
---|---|---|
1.0 | 重い | 腹筋・背筋の機能が無く座位バランスがとれない為、背もたれから離れたプレイはできません。体幹の保持やバランスを崩して元の位置に戻す時、上肢(手)を使います。脊髄損傷では第7胸髄損傷以上の選手で、基本的に体幹を回旋する事ができません。 |
2.0 | ↑ | 腹筋・背筋の機能がある程度残存している為、前傾姿勢がとれます。体幹を回旋する事ができる為、ボールを受けたりパスしたりする方向に体幹の上部を向けることができます。脊髄損傷では第10胸髄から第1腰髄損傷までの選手ですが、残存能力には個人差があります。 |
3.0 | - | 下肢にわずかな筋力の残存があり、足を閉じることができます。骨盤固定が可能となるため深い前傾から手を使わずにすばやく上体を起こすことができます。第2腰髄から第4腰髄損傷の選手及び両大腿切断者で切断して残った大腿の長さが2分の1以下の選手です。 |
4.0 | ↓ | 股関節の外転を使って、少なくとも片側への体幹の側屈運動ができます。第5腰髄以下の選手及び両大腿切断で切断して残った大腿の長さが3分の2以上の選手、また片大腿切断で切断して残った大腿の長さが3分の2以下の選手です。 |
4.5 | 軽い | クラス4.0の選手の全ての特性を持っており、さらに体の両サイドの運動のコントロールが可能です。軽度の脊髄損傷、両側下腿切断または、片側下腿切断、または片大腿切断で切断して残った大腿の長さが3分の2以上の選手です。 |
国際車いすバスケットボール連盟(IWBF)が定める競技規則に関するルールブック日本版
2018年公式車いすバスケットボール競技規則に関する解説と解釈(2019年ver.1)
(一般社団法人 日本車いすバスケットボール連盟より参照)